芸人の言いかえテクニック

テレビを観ていてお笑い芸人の発言に対して
うまいな〜って関心するときありませんか。

この「うまい」について思う節がいくつかあったので記します。

先日、はなまるマーケットを観ていたときのこと。
ゲストはまえだまえだ。
兄弟のロケがあり、そこでの兄のツッコミに対して
スタジオではやっくんや岡江さん含め、みんなから
「うまいなぁ」という
関心の笑いが起こりました。

それはロケでの食品のサンプル作り体験での一コマ。

エビの天ぷらのサンプル作ろうとして
弟がエビに衣をしっかりつけなかったことに対しての兄の発言です。

本来なら
「衣が全然ついてないやん!」
のような直接的な描写に近いツッコミになりがちです。

しかし兄はそこで

「うわ!ヘルシーになってるやん!」

とツッコミを入れたのです。

ここでは表現の言いかえが働いています。
エビに衣がついていない→油が少ない→ヘルシーやん
シンプルに表すとこうなります。

この言いかえのメリットは利便性の高さです。
ツッコミにも使えるし、MCへの返しとしても有効です。

そして大それたことを言ってなくても印象に残りやすく
発言もテロップになりやすいことがあげられます。

また、例えツッコミだと狙いすぎて失敗するリスクがありますが
言いかえではコツさえつかめば比較的にすべることはありません。

あえて直接的に言わないテクニックであり
現在では、フット後藤ブラマヨがうまく利用していると感じます。

私はそこまでテレビはチェックしてませんが
最近ちょっと観たなかでも
いくつか「言いかえテクニック」がみえました。

まずブラマヨ吉田
ホンマでっかTVでの、写真のうつりかたのくだりにて。
明石家さんまにブツブツを隠すために、
両手で顔を押さえればいいやんと言われたことに対しての返しです。

直接的だと
「ほんなら僕が誰なのかわからないじゃないですか!」
みたいになるでしょう。

しかし、ブラマヨ吉田はこう返しました。

「僕だけ思い出を残せてないじゃないですか!」

実際これで笑いが起こっていたし、それを観ていた
私は相変わらずうまいな〜っと思ったのです。

この「うまい」という感覚はやはり言いかえによるものです。

両手で顔を隠す→写真なのに誰だかわからない→思い出に残らない

ブラマヨ吉田はそこに自虐的な要素を含めることもできるため、
らしさが出ますし、小杉もまたそれに返せる強みがあると思います。

ではフット後藤の例を。

ゴットタンのマジ嫌い企画に呼ばれた後藤。
基本その芸人ありきで企画が成立するため
なかなか簡単な仕事ではないようです。

そこで前回に出演したときも同様の企画だったことに対して。

これを直接的に表現すると
「また体力使う企画やないですか〜」
こんなかんじになるでしょう。

フット後藤はこう言ったのです。

「なんでカロリーの高い企画ばっかり呼ぶんですか!」

体力を使う仕事→負担がかかる→カロリーが高い

ここで特筆すべきことは
本来では組み合わせない言葉をあえて用いて
言いかえている点です。

カロリーという言葉は基本、食品に対してのみ用いるものです。
しかし、それを体に負担がかかる、という共通要素から
「カロリーが高い企画」
と表現しているのです。

共通要素を踏まえたうえで言いかえることで
それは不自然に思われず
むしろ印象に残すことができるのです。

一般の人が負担の多い仕事に対して
この「カロリーが高い」という表現を
使うケースも出てきています。


最後にこれは聞いた話ですが
さらにフット後藤
過去に、ゴリラに似ている人に対して

「四捨五入したらゴリラですよ!」

と発言したそうです。

ここでもゴリラに似ているという点から
ほぼそれに近い、という共通要素を導きだし
四捨五入という数の用語でうまく表現しています。


まとめると芸人は
あえて直接的な表現を言いかえることによって
「うまい」と思わせるテクニックを使っています。

そしてフット後藤ブラマヨはじめとする芸人が利用する
高等なものも存在します。

言いかえをしつつ
それにふだん組み合わさない言葉を取り入れることで
よりインパクトを出しているのです。

くりぃむ上田が一時期注目を浴びた
直接的な例えツッコミとは違う、
間接的な言いかえのツッコミや返しが現在、
テクニックとして主流になってきているのではないでしょうか。

間接的な言い回しを訓練することで、
素人でもある程度は表現に磨きをかけられる気がします。